『永遠の0』を検証する ただ感涙するだけでいいのか

著者/秦重雄(はたしげお)、家長知史(いえながさとし)、岩井忠熊(いわいただくま・インタビュー)

定価/本体:1600円

判型/四六判

頁数/294ページ

発行/2015年7月1日

ISBN:9784889009248

 

 

 

 

 

【内容紹介】

元特攻学徒兵は『永遠の0』をどう観たか? さまざまな受け止め方をされた大ベストセラー『永遠の0』とは結局、どういう作品だったのだろうか。作者の意図は何だったのか。どうして主人公は特攻を志願したのだろうか。多くの人が作品から受けたあの感動と涙=非合理主義的感性は私たちに何をもたらしたのか。戦後70年の今、この作品を検証することを通して、歴史から私たちは何を学び取るべきなのか、読者と共に考えたい。


【著者紹介】

秦 重雄(はた しげお)
1953年大阪市生まれ。立命館大学文学部卒業。現在、公益財団法人部落問題研究所主任研究員、日本社会文学会理事。著書に『挑発ある文学史 誤読され続ける部落/ハンセン病文芸』(2011年、かもがわ出版刊)。


家長知史(いえなが さとし)
1954年京都市生まれ。立命館大学文学部(西洋史専攻)卒業。元京都府立高等学校社会科(地歴・公民科)教諭、元立命館大学非常勤講師。歴史教育者協議会会員。著書に『映画でまなぶ世界史』(1994年)、『新・映画でまなぶ世界史1~2』(2003年、2009年、ともに地歴社刊)、『世界史映画教室』(1997年、岩波書店刊)など。


岩井忠熊(いわい ただくま)
1922年、熊本市生まれ。1943年、京都帝国大学在学中の徴兵猶予停止で「学徒出陣」、海軍に入隊。「震洋(しんよう)」という特殊兵器を扱う部隊の特攻要員となったが敗戦。京都大学に復学、「戦争拒否への信念」を胸に日本史研究の道を歩む。立命館大学文学部教授、副学長など歴任。主な著書に『明治国家主義思想史研究』(1972年、青木書店刊)、『西園寺公望』(2004年、岩波書店刊)、『十五年戦争期の京大学生運動』(2014年、文理閣刊)など。さらに特攻要員としての自らの体験を兄・忠正氏とともに『特攻 自殺兵器となった学徒兵兄弟の証言』(2002年、新日本出版社刊)に著す。

 

【目次紹介】

まえがき

 

第1部 小説『永遠の0ゼロ』を検証する 秦重雄
はじめに
第1章「魅せられた魂」が生まれた所以(理由)
第2章 感動を呼ぶ「決めゼリフ」は、はたして可能であったか?
第3章 「ゼロの消(滅)点」―『永遠の0』のリアリティの蒸発
第4章 そっと置かれた作者のイデオロギーこそ曲者(くせもの)
第5章 作者の直接的メッセージはここにある!
第6章 『永遠のゼロ』のトリック(錯覚)とトラップ(罠)
第7章 「戦争を知らない子供たち」の責任を果たす―戦記マニア少年の歩んだもう一つの道
最後に
【映画『永遠の0ゼロ』の危険な隠し味】
【テレビ版を検証する】

第2部 映画『永遠の0ゼロ』を検証する 家長知史
はじめに
第1章 物語と人物設定
第2章 作品の魅力(多くの読者を獲得し、観客を動員した力)はどこにあるのか
第3章 作品を読んだ後、見た後で考えたいことは何か
第4章 「犬死」、「無駄」死としての特攻死の歴史的意味
第5章 百田尚樹氏の思いをどう受けとめるか
第6章 改めて映画『永遠の0』について考える
おわりに

第3部 元特攻学徒兵が観た『永遠の0』 インタビュー・岩井忠熊さん

 

あとがき